読んだもの―「ソニーとSONY」
[2006/1/26]

ソニーとSONY
日本経済新聞社編
「ソニーとSONY」
日本経済新聞社

今日、ソニーの2005年度第3四半期の決算発表が行われた。去年9月の業績予想では、2005年度は100億円の赤字だったのに、今日の発表では700億円の黒字に予想が修正されていたので、世の中の投資家達は驚いたはずだ。
日経新聞をはじめ、世の中の論調は今まで、ソニーの出井前CEOの経営は失敗で、当面、業績の建て直しは難しいといったネガティブなものだった。実際、株価も去年の10月ごろまでは4,000円未満で低迷していた。しかし、それは本当のソニーの姿ではないのではないか?日経新聞はいつも表に出てくる結果だけに基づいて企業を批評するが、僕はソニーは他の日本企業と違い、一度、負けたからって、負け続ける会社ではないと思っている。
とはいっても、どうして日経がソニーをダメだと言うのか知ってみたいと思い、この本を読んでみることにした。内容は、出井前CEOが就任した頃から、去年、ストリンガー新CEOが就任する頃までのソニーの変化について、深く入り込んだ取材に基づいて描かれている。

なぜ、ソニーが他の会社と違うと思うのか。例えば、この本を読むと、今回のCEOの交代劇には社外取締役の存在感が強いことがわかる。ソニーは、米国的な委員会等設置会社という経営スタイルを採用している。他にも委員会等設置会社はたくさんあるが、ソニーのように、債務超過でも赤字でもない企業の経営者を社外取締役の力によって変えてしまうというのは、他に例がない。

▼久夛良木さんがなぜCEOにならなかったのか?
プレーステーションの生みの親として有名な久夛良木前取締役を次期CEOに最も近い人間として見ていた人は多いと思う。しかし、この人がCEOに選ばれなかったのには次のような事情があったようだ。(p.152より引用)
社外取締役のヒアリングを受けたものたちの矛先は、思わぬ方向にも向かった。
それは、四十歳代の頃から世界で注目されるエンジニアとなり、ソニーグループの成長を引っ張ってきた久夛良木の豪腕ぶりだった。
「部下が萎縮してしまう」
(中略)久夛良木に対して「社内の和が乱れる」と口を揃えて言っていたのだった。
ソニーのような会社でも、部下が萎縮してしまうほどの豪腕ぶりだとは、外からではなかなか分からない。

▼ストリンガーとはどういう人か?
ストリンガーは97年5月に米国ソニーの社長としてソニー入りする。それまでは、CBS放送部門社長を務めていた。ストリンガーをスカウトしたのは出井前CEOであるが、出井が当初提示した給料は驚くほど安く、また権限も小さかった。これに対し、ストリンガーは『「良い仕事をすれば、出井さんもそれに見合った報酬を用意しなければならなくなるはずだ」と考え、出井の差し出した契約書にサインした』そうだ。そういう気持ちで仕事をしなければいけないなと思ったりする。
ストリンガーは人間関係を非常に大切にするし、例えば、日本では大胆なリストラはできないことなど、日本のこともよく理解しているようだ。初めての外国人CEOとして、それなりにうまくやっていけるのではないだろうか。

まあ、とにかく、この調子で頑張ってもらいたいなと、一株主として思うのであった。

お勧め度:★★★☆☆(3/5)


▼▲▼ 書評シリーズ ▼▲▼
2006/01/04 「下流社会 新たな階層集団の出現」 三浦 展著
2005/12/31 「最新版 投資戦略の発想法」 木村 剛著
2005/12/17 「弁護士の仕事術・整理術」 矢部正秋著
2005/12/11 「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」 リリー・フランキー著
2005/08/22 「星宿海への道」 宮本 輝著
2005/07/30 「土の中の子供」 中村文則 著
2005/07/29 「決断力」 羽生義治 著
2005/05/27 「証券化とSPE連結の会計処理第2版」 荻 茂生 編著

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